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 第25回 「肩こり(その3)」

 最近とみに月日の経つのが早く感じられます。感激のメイヤーズウォーク完歩、Y2Kの大騒ぎや楽しかったお正月が遥か遠くの出来事の様に感じられます。私が歳をとったせいでしょうか?

 さて、今回は引き続き肩こりの治療についてお話ししたいと思います。肩こりは12月の本稿でも述べましたように様々な原因がありますが、長時間に渡る首と肩、背中の筋肉の収縮が一旦生じると、肩こりサイクルという悪循環に陥ります。肩こりの治療は一言で言うと原因を取り除き、サイクルのいずれかの部位を断ち切る事にあります。

 しかしながら、原因にも取り除けるものとそうでないものがあります。例えば解剖学的に樋口一葉や竹久夢二の美人画の様に華奢な、なで肩で筋肉の弱い人や、頚椎が真っ直ぐか後方に凸の人が、チャックさんの様な立派な筋肉の首や前方に凸の正常な頚椎に改造する事は不可能です。従って個々の体型に合った適切な予防策と喫煙、精神的ストレス、頚椎、肩への物理的負担等の悪影響を及ぼす因子を排除するよう努める事が肝要です。まず日常の予防についてお話しします。

 人は立位で日常活動をするために、頚椎が重い頭を支える事により肩こりが生じる訳ですが、寝た状態では首への負担が違ってきます。寝る事が仕事の赤ちゃんでは、頚椎は後方に凸の形が生理的と言われています。成長するに従い前方に凸となる訳ですが、成人で高すぎる枕で寝ると、頚椎が過度に後方に凸の形となり、靭帯や筋肉が伸ばされ寝違いの原因になります。低すぎる枕では寝た状態の非生理的な前方の凸の頚椎となってしまい、起床時の肩こりの原因になってしまいます。適切な枕の高さが肩こり予防には重要で、6〜7cmの高さが良いと言われています。

 日常の作業姿勢も重要です。オフィスのOA化に伴い、VDT作業による様々な障害が産業医学の分野で問題になっていますが、肩こりはその代表的なものです。予防の為には背もたれの高い椅子を用い、38〜55cmの高さで股、膝、足関節の角度が90度になるように座り、肘の角度が90度以上になるようにキーボードに触れ、ディスプレイの位置を目の高さよりもやや低く置くことが良いと言われています。また長時間の持続作業を避け、40〜50分毎に休憩をとる様に勧められています。仕事から開放され、帰宅後の入浴が肩こりの解消に有効な事は皆さんも経験している事と思います。入浴の温熱効果により肩の血液の流れが4〜5倍増えると言われており、38〜40度のお湯にゆっくりつかる事が良い様です。

 最近新聞・雑誌やテレビ等で肩こり体操が紹介されています。先日は国際線の飛行機の中で突然肩こり体操のビデオが始まり驚きました。またある会社を訪問した際に、3時になると一斉に社員が音楽に合わせて体操を始めました。運動に対する意識改革が進んでいることを実感しました。しかしながら運動が有効なのは分かっているが、時間がとれないといういう話をよく聞きます。体操をするのにかならずしも特別な施設に行く必要はありません。色々な体操がありますが、ほんのちょっとの時間を見つけ体操をする事は、筋肉のみならず心もほぐれます。

 昔、「大宮デンスケ」という首を常に左右にグラグラ振っている変なおじさんがいましたが、あれも一種の首の運動かもしれません。最近私は志村けんと加藤茶がやっていた「ひげダンス」が朝の肩こりに良い事を発見し、2階から下りる時にやりながら、ラジオ体操につなげています。家内にも一緒にやろうと勧めたのですが「朝っぱらから何馬鹿な事をしてるの!」と相手にしてくれません。偉大な発見も認められる迄に時間がかかる事は歴史が証明しています。冗談はともかく(本人は大真面目)チャックさん直伝の肩こり体操をトライしてみてください。(健康づくりトラの巻、チャック・ウィルソン著、近代文藝社)

 最後にクリニックの宣伝をさせて頂きます。私の所ではスーパーライザーというレイザー治療に近い近赤外線治療で肩こりに効果を上げています。体表から5cmの深さまでビームが届き、血流を良くし、疼痛の改善効果があります。頑固な肩こりにお勧めです。

文献: 肩こり、腰痛こうすればラクになる、植野満、日本実業出版社

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