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 第48回 「回転性めまい」
 あけましておめでとうございます。
 
今年の元旦は凛とした冷気の中にも青空が冴え渡り平和な良いお天気でした。玄関先に国旗を掲げ、TVの無い我が家はCDのトランペット協奏曲を聴きながら家族で神妙に我が家伝統のお年取り、四方拝と言う昔ながらの儀式を行い、続いて屠蘇を祝い、松様、歳徳様、恵比寿、大黒、鍬鎌様という各神様に供えた故郷の伊予風雑煮を頂きました。まったくロクな事も無い昨年でしたが、今年はどんな激動があるのでしょうか。神頼みという訳ではありませんが、近くの氷川様、お稲荷さんに老母と家内を引き連れ2カ所も初詣を済ませました。
 茶髪の柔道家チャックさんは元旦早々ホテルでの講演のお仕事との事でご苦労様です。今年も共に気合いを入れて熟年パワーで頑張ります。


 さて、今回の医療情報は読者のご質問にお答えし、自動車運転中の回転性めまいについてお話します。めまいについては以前にもこのコラムでお話しましたが、回転性のめまいは耳の中の内耳(三半規管)という器官、第八脳神経(前庭神経)という内耳と脳をつなぐ神経、脳の中にその前庭神経が入り下部脳幹部で中枢となる神経核、小脳が関与します。

 回転性めまいの原因として30を越える多くの要因が挙げられています。まず、先に述べた神経、脳に直接的に関与して回転性めまいが起こるものとして中年女性に多く聴力低下、耳鳴り、耳閉感を伴うメニエール氏病、高齢者が頭を上下したり回転したりして起きる頭位性めまい、風邪のビールス等で生じる前庭神経炎、聴神経や小脳の腫瘍、髄膜炎、頸静脈グロムス腫瘍などの脳腫瘍、脳幹部や小脳に起こった脳出血、てんかんなどの器質的病気が挙げられます。また、間接的に関与するものとして脳の血液循環の異常があり特に椎骨脳底動脈と言う椎骨動脈系の一過性の血流低下によって起こる事が知られています。

 また、脳血管の拡張が原因である偏頭痛でも回転性のめまいが生じる事があります。その他代謝性の疾患として甲状腺機能低下症、低血糖、脚気、ビタミンB2、ニコチン酸などのビタミンB欠乏によるペラグラという疾患も原因として報告されています。さらに薬物の副作用として生じる場合もあり鎮痛剤、抗不整脈剤、抗てんかん薬、抗生物質、利尿剤、鎮静剤、アルコールなどが報告されています。

 さて、ご質問の方の回転性の一過性のめまいの原因は何か?という問いに明確にお答えする事は、年齢、性別、既往症などの情報がないので難しいのですが、運転という特殊な姿勢を保っていたときに生じ、一時的(一過性)であった事から、まず第一に椎骨動脈の循環障害が生じたのではないかと疑ってみました。

 中年以降で頸椎が変形性頸椎症という状態になると変形した骨棘という頸椎の骨の出っ張りが首を前傾したり後ろに向けたり等の特定の姿勢で椎骨動脈を圧迫、屈曲し、椎骨動脈の一時的な血流障害を起こし回転性めまいが生じると言われています。また骨が直接血管を圧迫しなくても頸部交感神経を介して反射性に椎骨動脈が収縮して血流障害が起こる事もある様です。また変形性頸椎症の人は首を支え肩甲骨をつり上げている筋肉が頑固な肩こりを呈する事もあり、肩こりから筋肉内の血管が収縮して筋肉の酸欠状態をもたらし、その為有害な物質が出てきて椎骨動脈の周囲に絡み合っている神経に作用して血管が収縮して回転性めまいを生じる事も考えられます。

 次に全身的な問題として自律神経失調による血圧の変動による脳血流の一時的変化も否定できません。更年期の女性では突然前触れもなく更年期症状の一つとして大きく血圧が変動する場合があります。突然の動悸、顔面の火照り、のぼせといった交感神経優位の血圧上昇による症状の他、副交感神経の失調により血圧及び脳血流が低下する事も考えられます。いずれにせよ一時的で終わってしまうエピソードであればあまり心配ないと思われますが、万一繰り返すようであれば、血液検査、脳のMRI、首のX線など専門的な検査をお受けになる事をお勧めします。

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