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 第74回 「CPK値と筋炎」

 最近、白虎隊の生き残りから東大総長となり、長岡半太郎やノーベル賞受賞の朝永振一郎、湯川秀樹へと続く、日本の物理学の基礎を作った山川健次郎伝や、新渡戸稲造の武士道を読む機会がありました。大ヒットのラストサムライを製作したトム・クルーズが、BUSHIDO The Soul of Japanを擦り切れるほど読んだとの事です。昨今は伝染病で死んだニワトリを黙って出荷する業者、セクハラ教師、泥棒警官、セニゲバ医者、汚職政治家、子殺し親殺し、無能TV製作者、エロ週刊誌編集者、くそ坊主、ダメ弁護士、エセ学者、インチキ評論家、無責任経営者、仁義なき渡世人、ノー天気ホスト・ホステス、正真正銘の馬鹿等、亡国の輩が連日新聞の3面を賑わせています。おかしな教育・メディアが民族の誇りや道徳心を失わせ、私達の日本国が加速度的に崩れていく感を持ちます。トム・クルーズが憧れたあの日本人の美徳は美しい田園風景や海辺の景色と共に消えてしまったのでしょうか?蛇にピアスもいいのですが、脳にピアスを疑わせる口を開けた若者が徘徊しています。次第にどこかの原住民の様に、鼻ピアスが牛の鼻輪のように大きくなり、そのうちペニスキャップで往来を歩き出すのではと心配申し上げております。

 さて今月の医療情報もコラムをご覧の皆様から頂いたご質問にお答えいたします。ご質問は5ヶ月前に逆立ちに失敗して首や腕を傷め、その後首が上がり難く、両腕が真っ直ぐ上がり難いMさん(女性)からです。

 最近血液検査を受けたところCPK値が3100IU/Iと極めて高く、病院で筋炎を疑われているそうです。Mさんの筋肉の症状は最近軽快しつつあるとの事で、血液検査の2週間前にインフルエンザの予防注射をしているため、筋肉注射の影響は考えられないか?また5ヶ月前の筋肉損傷が関係しているのでは?とのご質問です。

 骨格筋、脳、心臓の筋肉に多く含まれるクレアチンフォスフォキナーゼ(CPK)という酵素は、性別により基準値が異なり、女性では正常値が30〜165 IU/Iと、男性よりやや低く設定されています。CPKは脳由来のCPK-BB、心筋由来のCPK-MB、骨格筋由来のCPK-MMの3つのアイソザイムという組織に分けられます。CPKが増加する骨格筋の病気は多発性筋炎、皮膚筋炎、進行性筋ジストロフィーなど13種類の疾患があり、その他筋萎縮性側索硬化症など3種類の神経筋疾患が挙げられます。骨格筋と心筋は構造的に横紋筋と呼ばれますが、急性期の病気として横紋筋融解症があり、凍傷や熱射病、マラソン等の過度の運動、事故による挫滅症候群、動脈硬化による血管の閉塞症の他、高脂血症の薬や麻薬などの薬物によって生じます。

 一方、CPK-BBが増える脳の病気は脳卒中の急性期など5種類の病気があり、CPK-MBが増える心臓の病気は心筋梗塞の急性期が代表選手です。その他甲状腺や副甲状腺機能低下症、末端肥大症などの内分泌疾患が知られています。

 さてMさんのCPK値は正常の20倍近くでかなり高い値です。ご指摘のインフルエンザの予防注射は筋肉注射ですが、1〜2回の投与で少量であり、しこりが生じたとしてもかなり限局した面積の出来事で、CPKがどんなに上昇しても数パーセントに過ぎないと思われますので、因果関係の可能性はないと思います。5ヶ月前の筋肉損傷に関しては、確かに受傷直後より数日間はCPK値が上昇しますが、腎臓の機能が保たれている限り1週間程度で正常に復する事が殆どであり、5ヶ月間も3000を越すCPK値が持続する事は考えられません。先に述べたCPKのアイソザイム分画やミオグロビン、他の酵素の情報がないとはっきりとしたお答えは出来ませんが、やはり主治医の先生が疑っておられる多発性筋炎などの自己免疫疾患(膠原病)を一番に鑑別する必要があるように思います。逆立ちの失敗もあるいは、その頃より病気が始まっており筋力が弱ったために体を支えられなかったとは考えられないでしょうか?

 多発性筋炎はCPKの非常に高い値が持続しますので、この点も診断の裏付けになるかもしれません。膠原病と診断されると不治の病と思われがちですが、多発性筋炎は副腎皮質ホルモン(ステロイド)が良く効く場合があり、あまり落ち込まず主治医の先生のお話しを良く聞いて、確定診断につながる検査をお受けになると良いと思います。

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