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 第80回 「うつ病の早期発見」

 お久しぶりです。今月はドクター・ジュンコこと私が担当いたします。私の専門はアレルギーですが、気管支喘息やアトピー性皮膚炎の患者さんを長年診ておりますと、病気の経過に心理社会的ストレスが大きく関わっている事を痛感いたします。全身血だらけの重症アトピー性皮膚炎だった20代の男性は、本日受診時、驚くほど良くなっておりました。薬による治療効果もありますが、複雑な生育歴で自殺を図った事もある彼に勧めたカウンセリングの効果が大きいと考えられます。

 さて、今回は自殺と関係深い“うつ病の早期発見”についてお話しいたします。我が国の自殺者数は1998年に急激に増え3万2千人台(それまでは2万人台)となり、ここ6年連続で3万人を超え、昨年一年間で3万4千人台と過去最多を記録してしまいました(警察庁統計)。自殺した方の70%がうつ病もしくはうつ病圏内にあったという調査結果もあり、うつ病の最悪の結末として自殺を念頭に置き予防する事は家庭・職場・医療現場・社会全体にとって緊急事項と言えます。その為には、うつ病の早期発見がまず求められます。心身の病状については以前にお話しいたしましたが、今回は家族、同僚、上司、友人など周囲が気づく変化にもご注目ください。おかしいと気づいたら、叱責したり、激励したりせずに、すぐに医師への受診を勧め、場合によっては家族や上司などに連絡し受診を勧めてもらう事が必要となります。

*うつ病のサイン(体)
 1.睡眠障害・・・目覚めてしまう、寝つけない
 2.食欲低下・・・おいしいと感じない
 3.性欲低下・・・異性に興味がわかない
 4.その他・・・・だるい、疲れやすい、めまい、動悸

*うつ病のサイン(心)
 1.おっくうさ・・・・面倒くさい、何もしたくない、ちょっとした事でも取り掛るのがおっくうだ、人に会うのがおっくうだ、新聞を読む気がしなくなった、怠け者になってしまった
 2.落ち込み・・・・・憂うつである、気分が沈んでいる、暗い事ばかりを考えてしまう
 3.自責感・罪悪感・・自分はダメな人間だ、自分の存在が周囲に迷惑をかけていて申し訳ない
 4.自殺念慮・・・・・死んだらこのつらさから逃れられる、自分は生きる価値が無い

*うつ病のサイン(周囲が気づく変化)
 1.以前と比べ表情が暗く、元気がない
 2.体調不良の訴えが多くなる
 3.仕事・家事の能率低下、ミスが増える
 4.周囲との交流を避けるようになる
 5.遅刻・早退・欠勤・欠席が増える
 6.趣味やスポーツ、外出をしなくなる
 7.飲酒量が増える

 以上のサインが2週間以上続き、朝に特にひどく午後以降に改善する傾向があります。また、うつ病は大きな出来事や環境の変化などのきっかけがある事が多いので、以下のような場合にはうつ病のサインに特に注意する事が早期発見につながる事があります。

 身近な人の死・離婚・昇進・異動・就職・失業・転居・結婚・出産・過労・病気など

 うつ病は休養と薬物療法を医師(精神科・心療内科・内科)の指示に従って、気長にあせらず続ける事により治療します。再発しない為には、治った後も医師の指示を守り、一定期間薬を服用し続ける事が重要です。

<ヒロオカクリニック 副院長 弘岡順子先生>

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