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 第97回 「大豆イソフラボン」

 戌年は波乱の幕開けです。わが国の偽装された国家の枠組みが壊れていくのを感じます。私には全く関係のない世界のホリエモンやオジャマモンはドゲンデモヨカですが、私がわずかばかりのお賽銭をつつましく投げ入れ神妙に初詣をしている時に、自家用ジェットでラスベガスでバカラだのさげまんタレントと、英霊達が眠る南洋の海でいちゃつくとはどうゆう了見でしょうか?言語道断!そんな輩をおだて上げた政治家、メディアも国賊ものです。

 ソ連崩壊後、社会主義が敗北して資本主義が勝利したとの観点から、米国型の資本主義原理主義が世界を跋扈し、マネーゲームによって株価の時価総額のみが企業価値を決定し、会社はstock-holderの為だけにあり、社員や地域社会など会社を取り巻くstake-holderが蔑ろにされる傾向になったと、ある評論家が言っています。今や世界はイスラムと米国資本主義の原理主義闘争の最中にあります。残念ながらその米国型を最も素直に受け入れ、バブル崩壊から何も学習せず、「法に触れない限り儲けるが勝ち。」という連中を勝ち組みなどともてはやしているのがわが日本国です。自らを律し、倫理的に規制する枠組みを持たないわが国の社会構造の申し子が、ライブドア事件であるという説には納得させられます。

 TVでは変なアヒルが「お金は大事だよ〜」と言っていますが、体も大事です。という事で今回の医療情報も健康食品についてお話しします。

 先日、外来に若い女性が顔色が悪くなったという訴えで来院しました。確かに顔がどす黒く、黄色味を帯びて肝機能障害か腎不全の患者さんのようですが、すでに他院でそれらの疾患は否定され原因不明だと言われていました。顔色以外は元気です。そこで何か健康食品を摂っていないか聞いたところ、サプリメントのビンを取り出しました。そして「これを飲みだしてから顔色が変化した気がする。」と言うのです。そこでたまたま隣の部屋で診療をしていた皮膚科の先生に診てもらったところ、一発で「これはβカロチンの副作用です!」という事になりました。そのβカロチンいっぱいのサプリメントを止めればOKという事で、患者さんは大喜びで一件落着でしたが、健康食品、サプリは副作用が無く安全だという風潮への警告になりました。

 最近厚生労働省が乳がん、骨粗鬆症、更年期障害に効果があるとされる大豆イソフラボンに関して、日常の食事とは別に摂取する場合は、一日30mg程度に抑えるべきとの勧告を出しました。また、今年の1月に米国の心臓学会(AHA)から、大豆をたくさん摂取する事によって脂質代謝に明らかな益が見出せず、心臓血管病の危険因子に対しても目に見える効果はなかったとの発表がありました。1999年に米国の食品医薬品局(FDA)は大豆蛋白を含んだ食品が冠動脈疾患を予防するという表示を認めましたが、その後、その信憑性を支持しようとするあまりにも大量の論文が現れた為、AHAはFDAの大豆推薦の正当性を再試験する事にしたのです。

 ハーバード大学公衆衛生学のフランク・ザックらによって過去10年間に行われた研究で、大豆蛋白にイソフラボンを加えたものを摂取した群と、ミルクや他の蛋白を摂取した群を比較した22の無作為抽出化試験の論文を検討した結果、大豆製品は悪玉コレステロール(LDL)を3%低下させたに過ぎませんでした。しかもこれは毎日の蛋白摂取量の50%を大豆で補った場合です。同様に大豆製品は善玉コレステロール(HDL)、中性脂肪、血圧にも著名な効果がありませんでした。著者らは、さらに大豆イソフラボンのサプリメントの効果を19編の研究論文で調べましたが、LDLに対する効果はゼロでした。

 つまり、大豆イソフラボンが他の蛋白と比べてLDLを有効に下げたり、心臓血管病の危険を軽減したという初期の研究結果は、正当性が確認できなかったとしています。一方この著者らは、豆腐や大豆バター、大豆まめ、大豆バーガー等の食品が心臓血管病を予防し、健康体を維持できる可能性を認め、それは大豆の持つ高濃度の多価不飽和脂肪酸、繊維、ビタミン、ミネラル、少量の飽和脂肪によるものであるとしています。

 日本人が昔から守ってきた食生活の大豆製品の摂り方をしておれば、あえてサプリを摂取する必要は無いようです。

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