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 第65回 「アイアンマンJAPAN福江島」  
 5月はアイアンマンの予選大会が3戦開催されました。17日にスペイン、18日がジャパン、24日がブラジル。また、その他にハワイ島で開催されたケアホア・ハーフトライアスロンにもアイアンマンの出場権がついている為に、日本人が30名近く出場しました。

 5月18日に開催されたアイアンマンJAPAN福江島大会は、大会が開催される数週間前より、今春、中国本土で発生し現在猛威を奮っている新型肺炎(SARS)が、海外からの出場選手(特に東南アジア地区)により持ち込まれた場合、福江島内の医療体制が整っておらず流入を防止するのが難しい事や、ボランティアの人達が外国選手に水や食物等を手渡す事で感染する恐れも考えられる事、カーボローディングパーティやアワードパーティ等の人込みでの感染も予想され、福江市、長崎県、医療機関等から大会主催者側に対し中止の要請が出されました。

 主催者側はこれらの問題を含め大会を中止するか、開催するのであればどのような対策を立てて開催するのかを再三検討しました。結論として、外国人選手には出場を辞退してもらうよう緊急に要請をすること。パーティ等、人がたくさん集まる催しを中止すること。エードステーションでの選手に対する水や食物の手渡しを中止すること。フィニッシュ後のボランティアによるマッサージサービスを行わない、等の条件を盛り込んだ、開催に向けての妥協案を主催者側が福江市、長崎県に提示し、了承を得て大会開催のゴーサインが出ました。

 開催が決定した時点で開催まで約2週間しか無く、外国選手らに対する出場辞退要請が正しく伝わったかどうかは定かではありませんでした。今大会の出場者エントリー締切日が1月末で、1月の初旬には定員の1,000人の枠が越えた為に締め切られましたが、外国人選手も約50名近いエントリーがありました。

 新型肺炎(SARS)の問題では、5月末現在の感染者が8,221人を越え、死亡者も753人と感染者の約1割近くに達しています。幸い現在まで日本国内における感染者はいないと発表されておりますが、今後日本国内において絶対に感染者が出ないという保証はありません。アジア地区で開催を予定されていたスポーツの国際大会は、軒並み中止に追い込まれております。その結果、競技種目においては対外競技が出来ない為に、来年のギリシャオリンピック大会に向けての強化対策に狂い生じた競技団体もあるようです。このような点から言えば、アイアンマンJAPAN福江大会はよく開催できたと思いますし、開催決定の英断を下した大会関係者に敬意を表しますと共に、出場できた選手も感謝の意を表さなくてはならないでしょう。特にハワイの出場権を獲れた人は…。

 さてレースは、招待選手である強豪のローター・リーダー選手夫婦に対し、日本人エリート男女がどのような勝負を挑んで行くのかが今回の見所でした。男子の場合は田村選手が一番手と予想されましたが、田村選手は2月のマレーシア大会で3位、4月のオーストラリア大会では調整の失敗で27位と惨敗、宮古島大会では2位と持ち直しましたが、レース間隔がハードすぎる帰来があるようでどうかと思っていましたが、下馬評通り優勝したローター・リーダー選手から遅れること1分35秒差の2位でした。今後10月のハワイに向けてハードなレース予定を立てているなら、十分な成績をあげる事は難しいでしょう。過去にもハードスケジュールでハワイに出場したときには、成績が良くない結果が出ています。3位に入った河原選手は、今後本格的にアイアンマンディスタンスのトレーニングを積んで行けば、年齢も若いので今後日本のトップクラスに成長する可能性もあります。

 女子のエリートは、下馬評ではニコラ・リーダー選手が夫婦で優勝をさらって行くのではと言われていましたが、優勝はアメリカのディデル・ティナント選手で、ニコラ選手は約4分差の2位で、夫婦での優勝は出来ませんでした。日本人ではオーストラリア在住で第1回大会で優勝、同じ年のオーストラリア大会でも3位に入った奥田選手が、優勝争いに顔を出すであろうと思われましたが、残念ながらランの途中で胸部に痛みを覚えリタイアしてしまいました。

 エージグループの選手を見ますと、40数名の選手がハワイの出場権を獲りました。外国人選手が減った事が影響したのかどうか分かりませんが、インターナショナル大会でこれだけ出場権が獲れた訳ですから、もし大会が中止されていたらハワイの出場権の枠50人はどうなっていたのか?大会関係者にとっては中止するも開催するも、苦渋の選択であっただろうと想像できます。

 大会が無事終了し、2週間以上が経過していますが、新型肺炎の感染の兆候が出ていないのも幸いです。

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