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 第94回 「2005アイアンマン世界選手権大会」  
 第27回大会は色々な面において非常に話題の多かった大会でした。

 まず、バイクにおいて悪魔のコナウィンドが吹かなかった為、コースレコードが出た事。16のカテゴリーでコースレコードが出た事。80歳代の選手が16時間台の好タイムで完走した事。リタイアした選手が55人しか出なかった事。スイムスプリットを初の日本人選手が取った事。日本人選手のリタイアがゼロだった事。60〜64歳の部で二連覇している三森選手が、自分の持つコースレコードを更新し三連覇を達成した事。若干27歳のフェリス・サルタン選手が初優勝した事。20代での優勝者は、96年のルックバン・リルデ選手27歳、97年のトーマス・ヘリゲル選手26歳、98年のピーター・リード選手29歳以来の6年振りでした。ナターシャ・バッドマン選手が6回目の優勝(あと2回でポーラ・ニュービーフレーザー選手と並ぶ)を果たした事。私のバイクタイムが7年ぶりに7時間を切った事。トップテンの予想が8割当たった事(男子のみ)。最後の二つは話題にはなりそうもありませんが、何は共あれビッグニュースの多かった大会でした。

 今年は、予選大会の数が増えた事で、出場者が増加するのではないかと前号で書きましたが、蓋を開けてみれば全エントリーが1,816人と意外に少なく、スタートした選手は1,743人と減少していました。完走者は1,688人でリタイアが55人しかおらず、レース条件が良かった事がリタイアの数を見ても明らかです。日本人選手の出場者も例年より少なく99人(女性20人)で、リタイアが全く無かった事は非常に珍しい事と言えます。

 色々な面でシステムが変わり、特にレジストレーションなどは選手一人に費やす時間がかかってしまい、従ってボランティアも過去に比べ多くの人数をかけなければ対処できなくなってしまいました。細かい点では、プログラム等も昨年より各出場選手名の下に年齢、出身国、職業、ハワイ出場回数の年号が記載されていましたが、出場回数の年号は記載されなくなりました。コースも一昨年と昨年、昨年と今年と若干の変更があり、昔のように固定されていた時代から毎年少しずつ変更され、それが選手にとって良い条件になったのか、また観客応援者側からの観点からすると良くなったのかと言う問題もあります。

 さて、今年のレースですが、スイムトップで上がって来たのが日本の田山選手で、2位のサイモン・レーシング選手に17秒の差を付け、日本人として初の快挙を達成しました。トップテンの選手の中で、49分台でスイムを上がった選手は2人しかいません。ディフェンディングチャンピオンのノーマン・スタドラー選手は55分台の90位、バイクに移り残念ながら田山選手は有力選手の一団にすぐパスされてしまいました。スイムを出遅れたノーマン選手は、得意のバイクでトップ集団に取りつきましたが、折り返し付近でパンクに見舞われリタイアしてしまいました。スイムを3位で上がったフェリス・サルタン選手がバイクスプリットを2位でトップに立ち、そのまま逃げ切り初優勝しました。03年が7位、04年が3位と着々と実力をつけて来た結果の優勝と言えます。現在はドイツ国籍ですが、もともとはイスラエル人です。スイム、バイク、ランと三拍子揃った選手で、バイクの師匠はユーゲンザック選手だそうです。

 久しぶりに20代の生きの良い選手が台頭してきました。2位に入ったキャメロン選手ですが、昨年は得意のランが珍しく不発に終わってしまい、トップスリーから落ちてしまいましたが、01年から2位3位の繰り返しで、毎回バイクがいまいちなので、もう一つバイクに力が付けばまだ33歳ですからハワイでの優勝も可能です。NZの自分のホームグラウンドでは4連覇しているので、来年あたりは優勝を期待しています。

 日本人男子エリートでは初優勝した田山選手ですが、スイムはオリンピックで13位と言う成績を残し、ランも世界のトップに引けを取らないものを持っていますが、バイクで30分以上というアドバンテージをつけられては、ハワイでトップテンに入る事は難しいです。可能性としては年齢が若いので、今後の練習次第では宮塚選手以来の表彰台があるかも知れませんが、北京を狙っているのでアイアンマンはその後になるのでしょう。

 女子エリートは、昨年優勝のニナ・クラフト選手がドーピング違反で失格となり繰り上げ優勝となったナターシャ・バッドマン選手が6回目の優勝を果たしましたが、今回はランで先行するこれまたベテランのミケリー・ジョーンズ選手を交わしての優勝でした。女子のトップテンに入った選手の平均年齢は35歳で、男子の32歳に比べてベテラン選手が多く、過去1回優勝経験のあるカレン・スマイヤー選手は44歳で9位に入っていますし、連続19回出場で14回トップテン入り、今回は入賞を逃がしましたがフェルナンダ・ケラー選手も42歳になります。女子3位に入ったケイト・メジャー選手が、一人20代ですので今後優勝を狙える一番手となるのでしょうか?

 日本女子エリートの今泉選手は、田山選手と同じくトップ選手に比べバイクで30分以上のアドバンテージをつけられては、まだまだ世界に太刀打ちする事は難しいですね。ただこちらも年齢がまだ22歳ですから、今後の精進により化ける要素の魅力はあります。今回の大会で日本人選手で一番の期待がかかる選手として先月号で述べましたが、60歳、64歳のエージカテゴリーで二連覇している三森選手が期待通り三連覇を達成しましたが、それも自分の持つコースレコードを10分以上短縮しての三連覇、この記録は当分破られる事は無いでしょう。

 さて私事ですが、右足膝関節炎と靭帯損傷で8月末より全く走れず、暖かいコナに行けば何とかなるかなあと前週から乗り込んでみたものの、相変わらず痛みで全く走れませんでした。最後のランの為にスイムとバイクで貯金をしなければ完走は難しいと思いながら、私の為にコナウィンドが吹かなかった事によりバイクスプリットが7年ぶりに6時間台が出て、ランの持ちタイムが9時間あり何とか16回目の完走を果たす事ができました。今回の大会では、例年の大会に比べ話題が豊富でしたが、私自身も話題を提供してしまった様でした。

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