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 第89回 「アイアンマンJAPAN」 
 今回の大会は過去の大会と比べ、非常に注目された大会でした。エリートクラスの出場登録が過去最も多く、開催前からの話題も多くありました。

 男子では、昨年優勝したピーター・クロプコ選手が41歳にして二連覇できるか?昨年11月の第1回西オーストラリア大会で優勝し、調子の良いジェーソン・ショティーズ選手の初出場。宮古島で初優勝した松丸選手が上位に入れるのか?谷選手は毎年ハワイの出場権をレークプラシッドで獲得していたが、JAPANに初出場し、ハワイの出場権が取れるのか?3月のNZ大会でハワイの切符を手に入れられなかった西内選手のアイアンマン再チャレンジ…。中でも今回一番の目玉は、引退していた宮塚選手が41歳にして故郷の大会で、初出場で復帰する事でした。

 女子では、昨年優勝した堀選手が、地元NZ大会で体調不良の為にハワイの出場権を獲得出来なかったので、二連覇でハワイをゲット出来るか?3月のNZ大会5位に入りハワイの出場権を獲得し、宮古島で初優勝と現在絶好調の若手で、伸び盛りの今泉選手が優勝できるか?外国人選手のスーザン・ピーター、ベリンダ・ハロラン、サラ、フィン選手らが優勝争いをするのか?等々と、非常に注目されたレースでした。

 今大会には811名が出場しましたが、アジア地区におけるアイアンマンの出場者数は欧米に比べ、約半分ぐらいしかありません。アジアではまだまだアイアンマンディタンスのレースに出場できる選手が少なく、欧米に比べ選手層が薄い事が原因です。特にJAPANの場合は、バイク、ランとコース条件が厳しい事と、制限時間が15時間という事もあります。コース条件と制限時間をクリアでき、完走能力がある選手しかエントリーしてきませんが、あと2時間あれば出場したいと言う選手がいる事も事実です。

 今回は811名が出場し、リタイアした選手が95名も出ました。天候の問題もありましたが、ちょっと完走率が低すぎるようです。これで制限時間が17時間となれば、エントリーして来る選手の数も増加すると思われます。またアイアンマンの予選大会の中で、外国人選手の出場者が少ないのは、開催場所の不便さも影響していると思います。現在のエントリー数が倍になれば、福江の町に与える経済効果もかなり違って来るでしょう。大会に数千万円の税金を投入している訳ですから、やはり町に何らかの経済効果をもたらせなければ、この先、島民からの不満の声も出てこないとも限りません。そのような事になればレースの存続も危ぶまれるでしょう。97年にびわ湖のアイアンマンが中止となり、せっかく福江島で復活したのですから、アイアンマンファンとしては末長く存続して欲しいものです。

 さて結果ですが、昨年後半より調子が良いジェイソン・ショティーズ選手が、コースレコードの8時間41分で二連覇を狙っていたピーター・クロプコ選手に10分の差を付け初優勝しました。11月の西オーストリア大会でも2位のピーター・ジェイコブソン選手に17分の差を付けての圧勝でしたので、昨年の後半より調子が非常に上がってきていました。日本人選手では、ランスプリットを2時間44分のトップでクリアした河原選手が3位、4位に西内選手がNZ大会のうっぷんを晴らし、河原選手と共にハワイの出場権をゲットしました。

 日本人選手の3種目の記録を見ますと、最近ではスイムランはそこそこ通用するのですが、いかんせんバイクタイムが世界のトップ選手に比べて劣るので、バイクタイムをもっと上げていかないと世界のトップクラスとは太刀打ちできません。今回バイクタイムを4時間台でクリアした日本人選手は、一人もいませんでした。バイクタイムトップの池形選手ですら、5時間10分かかっています。バイクでトップと15分のアドバンテージを付けられては、ランを2時間50分前後のスプリットで走ったとしても相手も同じくらいのランタイムで走る訳ですから、詰める事は出来ない訳です。ちなみに宮塚選手が88年にハワイで9位に入ったときは、バイクフィニッシュは17位で、優勝したスコット・モリーナ選手との差は18分、ランスプリットは8位でした。94年に10位に入ったときのバイクフィニッシュも17位で、優勝したグレッグ・ウェルチ選手との差は6分、ランスプリットは10位でした。ハワイで入賞するにはバイクトップ選手から10分前後の遅れで、ランタイムが2時間50分前後でなければ難しいでしょう。

 その宮塚選手もピーター・クロプコ選手と同年齢の41歳になりますが、今回のバイクタイムは日本人選手の中で3番目のタイムでしたから、まだまだ日本ではトップクラスを張れます。エージグループでは、相変わらず濱野選手と大橋選手の強さが抜き出ていました。

 女子は37歳のサラ・フィン選手が9時間51分のタイムで初優勝、優勝が期待された今泉選手はドラフティングでペナルティを取られたとはいえ、16分も離されてはハワイではまだまだ通用しません。ハワイで過去日本人女子で入賞しているのは村上順子選手しかおりませんが、89年は優勝したポーラ・ニュービーフレーザー選手から58分差で12位、90年は優勝したエリン・ベーカー選手から1時間13分差で15位、94年は優勝したポーラ選手から57分差で14位でしたが、それ以後、入賞圏内に入った選手はおりませんが、日本では男女合わせて今後に一番期待が掛けられる選手は今泉選手です。今後バイクとランの走力を上げていけば、入賞も可能になるかもしれませんので、是非とも頑張って欲しいですね。

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