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 第98回 「アイアンマン・マレーシア」
 今年のアイアンマン予選大会第1戦となりましたのは、昨年末まで開催が危ぶまれていたマレーシア大会となりました。

 今回のエントリーの締切日は1月31日で、その時点でのエントリー総数は200人ちょっとでしたが、マレーシアに関しましては締切日はあって無いようなもので、毎回ぎりぎりまでの登録がOKで、今回も2月末には300人を超す出場登録がされていました。昨年のレースはハワイの出場権が35名あったのに2週間前まで開催が決定しなかった為に、最終的に44名の出場者でした。その内27名しか完走する事ができず、完走者全員がハワイの出場権を獲得できましたが、まだ8名分の出場権が余ってしまったという事態になりました。今年は昨年に比べて開催の決定がいくぶんたりとも早かったので、300人を超える出場登録となったようです。

 昨年のハワイ大会開催後に発表されたWTC(ワールド・トライアスロン・コーポレーション)のレースカレンダーにはマレーシアは含まれておりませんでしたが、その時点で開催が決定していれば出場登録者がもっと多くなったはずです。マレーシアはエントリーフィーも予選大会の中では一番安いですし、日本からの旅費滞在費も安い上に、物価は日本の半分以下ですから出費もかからず、ハワイのスロット獲得の確率も出場選手総数からしては世界で一番高いでしょう。

 ただ問題は、赤道に近い場所でレースを行う訳ですから、暑さに強い人でないと良い成績は望めませんし完走も難しくなります。2月の平均気温は30度以上になりますし、湿度も80%前後になり、これらの条件に耐えうる精神的、肉体的にタフでなければ非常に厳しいレースとなります。過去6年間を振り返っても、完走率は非常に低くサバイバルレースです。又、レースの中身が相当にアバウトな面がありますが、これは暑い国にはありがちな事です。

 今回の大会でも、エントリーは大会前日の午後までやっており、大会プログラムには325名分の名前が記載されていました。レース当日のバイクラックの番号は350番まであり、番号の欠番の所に前日登録の人を入れたりしていました。実際自分のカテゴリーには何人出場しているのかも分からない場合もあり、自分のカテゴリーに出場者が一人しかいないと思っていたら結果はとんでもない番号にオーストラリア人が入っていて、2位でハワイの出場権の獲得はならずガックリした人や、日本人同士でレース当日の年齢が違っていた為に、1位だったのに出場権が取れなかったというような、泣くに泣けない混乱も起きましたが、選手同士に責任は無く事務局側の問題なので何とも慰めようもありません。

 登録会場でも問題が発生しました。現在のエントリー方法はインターネットでの申し込みが主流で、エントリー代金はカード決済となっていますが、日本人の大半がエントリーフィーの支払いがされていないので、今ここで支払って欲しいと言われました。マレーシア通貨で1,290リンギッド(日本円約41,000円)は、確かに世界の相場からすれば安いのですが、二重取りされるのではないかと心配する選手もいました。
 マレーシアの大会に出場するには、スタートする前に色々な問題が生じますが、これは毎度の事なので、ここではこういう物だと事前に理解しておかないとレース前に余計な神経を使い、レース以前にストレスが溜まってしまいます。今後マレーシアの大会に出場しようと思われたら、マレーシアは普通の大会とは違う事をよく頭に入れておく必要があります。

 このマレーシア大会では、水泳コースを除く殆どが毎回コース変更されます。今回はバイクが30kmを折り返す3周回、ランが5kmを折り返す4周回のコースとなりましたが、共に平坦コースでした。スタート時間も世界中殆どが7時なので、ここでもプログラムには7時スタートとなっていましたが、7時にはまだ真っ暗で何処に泳いで行っていいのか全く分からず、やっと明るくなった7時30分スタートとなりました。
 レース結果は、男子エリートではクリス・レィト選手がダントツのトップでバイクを終わり、ランの途中まで独走態勢でしたが、暑さの為に失速し二番手にいたジェイソン・ショティーズ選手に大逆転されてしまいました。あのナターシャ・バッドマン選手が負けた事を思い出す様な展開でした。

 女子エリートでは、ソニア・タヤスク選手が優勝し、昨年2位に入った宮崎選手はリタイア。ティーム・テイケイ練習生の井上選手が4位に入りロールダウンによりハワイの出場権を獲得しましたが、今回エリート選手の出場が少なかった為に、賞金は3位までしか出ませんでした。エージグループ選手では男子9人、女子3人の合計12人がハワイの出場権を獲得し、ハワイ出場枠の約半分を日本人選手が獲得している訳ですから、色々問題のある大会ですが人気が高いのでしょう。

 さて、マレーシア大会事務局では07年の開催は2月24日と発表しておりますが、来年の大会も開催寸前まで分からないかも知れません。WTCとの係争がまだ続いており、一審はマレーシア側が勝訴した為に今回は開催できましたが、WTC側が控訴しているので、その結果WTC側が勝訴した場合は大会は消滅します。係争の内容は契約上の問題ですから、選手側からは全く関知できる問題ではありません。とは言え、過去7年間でハワイの出場権を獲得したリピーター選手にの中には、是非とも継続をと願う人もいるでしょう。

 何はともあれ、06年のアイアンマン予選大会の第1戦が終わり、3月4日の第2戦NZ大会も終わり、20名弱の日本人選手がハワイの出場権を獲得しました。

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