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 第89回 「回復中に休ませない体」
 野球やサッカー、相撲等のスポーツ選手の怪我のニュースをよく聞きます。骨折等の重症であっても、いつの間にか復帰して活躍している人もいれば、怪我を繰り返し、現役を退く人もいます。プロの選手であれば、一日も早く復帰を願う気持ちはよく分かりますが、焦って不完全な状態で復帰すると再発や慢性化を引き起こしてしまいます。一方、治療に専念しリハビリを充分に行った選手は、骨折など嘘のように活躍しています。

 20年ほど前までは、手術後や怪我の回復期は絶対安静と勧められていました。僕が脱腸の手術をしたときも1ヶ月間、病院で寝たきりで、退院後体力を回復するのは大変でした。しかし最近では開腹手術をしても翌日から歩く事を勧められるほど、体力の低下を極力避ける様になりました。これは体力の低下が回復力の低下に繋がってしまう事も考慮されての事でしょう。

 しかし医師から安静を勧められた時は従わざるを得ません。とは言っても足の骨折をしたとき、元気な上半身も一緒に休んで全身の体力を落とすと、完治後、全身の体力を取り戻すと言う大変な労力がかかります。しかし、動かせる部分だけは運動を続け、維持とは行かないまでも体力の減少を極力抑えておけば、完治後に取り戻す体力は怪我の部位に集中できます。ご承知の通り筋肉は使ったら48時間休ませる必要がありますが、効果は5〜10日しか続きません。2週間以上トレーニングをしなければ力は衰える一方です。

 当然お医者さんが言う事を聞くべきですが、怪我の部位に関して言っているかどうか確認が必要です。その上でトレーナーやコンディショニングコーチと相談して、可能なプログラムを作ってもらい、運動を行います。出来ればリハビリテーションの知識のある人に相談するのが理想的です。一般的なトレーニング知識だけでは不十分ですので、心配な時は、プログラム内容の負荷をやや少なめに行います。回復期の体力維持は代謝を高め、治癒にとっても有益ですが、やり過ぎて治療を妨げる事は避けなければなりません。

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