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 第9回 「筋肉の発達」

 前回筋力トレーニングを一般の方にもお勧めしました。筋力トレーニングの目的は、筋肉を変化させることです。我々人間の五感は他の生物に比べてずっと劣っています。但し、我々人間には大きな特典として、発達した頭脳を使って、身体を意識的に変化させる事ができます。しかし、実際に身体を変化させるのは大変な事で、ロッキーの映画を観た方は想像できると思います。

 一般の人には極端な身体の変化は必要ありませんが、我々の身体は何も鍛えなければ現状を維持するだけです。現在の日常生活に必要な活動ができる身体を維持するだけです。多少無理な活動をしても、筋肉痛を起こすくらいで身体は変化しません。

 簡単な例をあげると、花子さんが高台の家に引っ越しました。引越を手伝ったボーイフレンド達は揃って翌日筋肉痛を起こしました。一方毎日駅までの急な坂道を往復30分通うことになった花子さんは、始めの頃は筋肉痛を起こしてくたくたに疲れていましたが、3ヶ月もすると、買い物袋をぶら下げても平気で坂を昇れるようになり、花子さんの足は筋肉が発達し、引き締まり、思わぬシェイプアップができた、というようなことです。

 我々の身体には消エネルギーシステムが備わっています。肉体の許容範囲を越えた余分なエネルギーを使う負荷が身体に繰り返しかかると、なんとか余分なエネルギーを使わないで済むような機能が働きます。そこで身体は、負荷に対して大きな道具を用意します。その結果、以前と同じエネルギーでより大きな活動ができるようになります。

 これは、筋肉に関わらず、運動全般に言える事です。有酸素運動で、自分の最大心拍数の70%を越えるレベルの運動を繰り返し行なうことで、その運動に適応できるように心肺機能が発達します。

 実際に筋力トレーニングを行なって筋肉を発達させるシステムは非常に複雑です。ポイントとなるのは「強度」と「頻度」です。強度・頻度の決め方と、筋肉の発達の関係は科学的に解明されています。しかし、それが個人に合っているか、目標通りに変化しているかを見極めるのは非常に難しいものです。研究所の管理の元に実行すれば、それなりの目標の結果が得られますが、我々は個人差もあれば環境や精神的な影響も異なり、栄養補給も様々です。

 先に延べた、「強度」と「頻度」を科学的に決めた上でプログラミングをしないと効果は得られません。そこで、トレーナーやインストラクターといった指導者が経験を持った目で見て、測定をしながら、より目標に近付けるように効果的な指導を行ないます。ですから、一般の方が自己流や本を参考に筋力トレーニングをすることはあまりお勧めしません。フィットネスクラブなどに入会して基本を覚え、プログラミングをしてもらい、測定を受けながらトレーニングをするのは理想的です。少なくとも定期的にビジターで指導を受けたり、公共のトレーニングセンターなどで測定と指導を受ける方法で、効果とトレーニング方法の見直しを行なうことをお薦めします。

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