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 第3回 「有酸素トレーニング」

 始めに、「エアロビック」という言葉をはっきりしておきましょう。

 エアロビックはもとは2つの言葉でした。エアロは酸素という意味で、ビックは追加するという意味です。当初研究者達が使っていた言葉でした。我々の体内でブドウ糖を分解してアデノシン三燐酸になるプロセスは、有酸素新陳代謝と、無酸素新陳代謝と言われました。

 1968年、有名なクーパー博士がエアロビクスという題名の本を出しました。血液循環を良くするエアロビックな運動システムの総称です。そして、エアロビクスは「有酸素運動」という意味になりました。こうして有酸素効果を得られる運動が定義づけられました。種目は、ジョギング、水泳、クロスカントリースキー、etc。そして20年位前からはエアロビクスというとエアロビクスダンスのことを示すことが多くなったので、スタジオレッスンだけがエアロビクスだという誤解もあるようです。

 本当はダンス以外でも構いません。体内的に有酸素効果を得られるような活動であれば、どれでもエアロビクスです。

 では有酸素効果とは一体何だろう。難しく言えば、結果として最大酸素摂取量を高める効果のこと。体内的に肺活量・動脈・静脈の太さ・拍出量・毛細血管・赤血球の数、それぞれが高まれば総合的な酸素摂取量が増えます。さらに結果として安静時心拍数を下げる、血圧を下げる、悪玉コレステロール・中性脂肪を減らす、HDLコレステロールを増加する、という効果が得られる可能性があります。

 しかし、たんに運動すればするほど良いと言うことではありません。有酸素運動には運動生理学的な概念があります。その具体的な概念は、ヨーロッパの生理学者バルキーとバルコーネンという科学者が出しています。運動している間の心臓の働き具合を数値で表す概念です。

 バルキー方式は、運動不足や運動に慣れていない人の為の計算方式で、

 【220−年齢=最大心拍数】

 で求めた最大心拍数の50〜85%の数値の範囲内で、体力と健康に合わせて目標とする数値を決めます。運動中その目標の数値を15分間維持すれば有酸素効果が得られるというもの。

 カルボーネン方式は少し難しいが、体力に自信がある人や、高齢者の場合は適しています。計算方式は、

 【220−年齢=最大心拍数 {(最大心拍数−安静時心拍数)×目標%}+安静時心拍数】

で、目標とする数値を計算します。

 有酸素運動の種目はどんなものでも構いません。50〜85%の範囲内で目標にする%によって、体内的な効果は少し変わります。例えば50〜70%の間でしたら優先的に、毛細血管・赤血球・肺活量が増え、悪玉コレステロール・中性脂肪を減らします。70%以上でしたら優先的に、HDLコレステロール・拍出量が増加し、静脈・動脈が太くなります。

 このように有酸素運動には良い効果がたくさんありますが、その人の健康状態によっては、運動中十分に注意しないと、逆の効果も起こります。次回はそれについてお話しします。

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