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 第4回  「有酸素トレーニング(続編)」

 前回、有酸素トレーニングの概念と効果についてご説明しました。その有酸素効果というのは殆ど自覚症状が無いものです。自覚症状が無くても身体にとっては大変重要な効果で、今や社会問題にもなっている生活習慣病の予防や改善にも大きな特典があります。

 身体で感じることが出来る効果としては、食事がおいしくなる、駅の階段がつらくない、電車の中で立っていても苦痛じゃない、ぐっすり眠れる、前日の疲れが残らない、というように何だか元気になったと感じられるようになります。そしてとても重要なのが精神面での効果です。これは気持が元気で明るくなる、体力がついたことが自信につながって積極性が出てくるというような効果で、この結果精神的なストレスに強くなったと感じられるでしょう。嫌なことがあっても運動をするとさっぱりするという声を聞きますが、これは運動中に脳の中で発生するベータエンドルフィンという物質に精神を安定させる作用があるため、運動がストレス解消になっている訳です。

 有酸素効果を得るためには、目標とする心拍数を15分以上維持する有酸素運動を週に3回以上実行する必要があります。これを数ケ月以上継続することによって有酸素能力が高まり、様々な体内的な機能と体力の向上、精神面の強化という効果が得られます。

 目標心拍数、時間、頻度といった科学的な数字の他にもう一つ大切なことがあります。数字に捕われるあまり無理をしないことです。例えば、運動の途中で息が苦しくなったり、腰に痛みが出たり、関節が痛んだりしたら、当然その身体からの「SOS」を聞き入れる必要があります。15分以上の運動を週に3回以上継続するということは、心肺機能の向上は十分得られますが、膝・足首・腰などへの負担もまた十分考えられます。筋肉が疲れる程度なら休憩すれば治ります。もし関節の痛みが出たときは、休憩しながら、炎症を起こしている関節を冷やしたりといった治療やケアが必要です。

 しかし、こういった怪我や障害は運動のやり方でかなり避けることが出来ます。それがウォームアップとクールダウンです。

 ウォームアップは、例えばジョギングをする場合、始めの5〜15分間徐々にペースアップするウォーキングを行なって、筋肉や関節を温めながら身体を徐々に運動に適した状態に持っていきます。運動に適した状態というのは、運動に必要な酸素を体内に取り込める状態のことです。この準備を怠ると、身体がうまく酸素を取り込めず、息が苦しくなったり筋肉や関節を痛めたりして運動が続けられません。

 そして、クールダウンは運動を急に止めるのではなく、徐々にペースダウンして、心拍数を安静状態に戻すように呼吸を整え、身体中に酸素を運んでいた血液を心臓に戻すために行ないます。心拍数が高いまま、血液を積極的に心臓に戻さずに運動を止め、さらに座り込んだりすると、血圧や心拍数が急激に上昇して、心臓の負担になったり、場合によっては自分の限界を越えて命に関わることもあります。

 その後、使った筋肉を十分ストレッチで伸ばします。「第1回筋肉の痛み」で触れましたが、筋肉痛などの痛みを予防するのに役立ちます。

 運動を続けると筋肉や関節の負担だけでなく、活性酸素の問題や内臓への負担が出る可能性もあります。運動で体力は向上したとしても怪我や障害を起こし、健康とは言えなくなってしまいます。ウォームアップ・クールダウン・ストレッチの他にこれらを解決する方法として、運動に加えて次のような健康な生活のための概念があります。

 *身体にとって毒となるもの(煙草、過剰なアルコール・塩分・糖分・脂肪分)を避ける
 *栄養のあるバランスのよい食事をし、肥満を避ける

 そして、睡眠です。普通の人で6〜8時間ですから、運動を始めたらそれより2〜3時間多くしても構いません。そんなに長く?と思われるかもしれませんが、数ケ月運動を続けて身体が慣れてくれば、元の睡眠時間に戻すことも可能です。

 言いかえると、定期的な運動を続け、身体に科学的なストレス(有酸素効果の得られる負荷)を与えると、身体は運動の合間(日常生活の中)に栄養を補給し、疲労を回復し、さらにストレスに抵抗できるように強化されます。スポーツ選手でも一般の方でも、健康と体力を手に入れるためには、生活全般を総合的に見直し調整する必要があります。そうでないとせっかく時間を使って努力していることが無駄になってしまいます。場合によっては怪我や障害を起こしたりと逆効果になってしまいます。

 効率良く、安全に身体づくりをするために、これからも一緒に勉強して自分の可能性を伸ばしていきましょう。

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