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 第5回 「運動中の水分補給」

 人間の身体の発汗作用は、身体がオーバーヒートしない為の安全装置です。特に運動中は身体の代謝も活発になって、個人差はありますが気温や湿度が上がってくれば、汗の量も増えていきます。水分の補給が不充分だと脱水症状を起こし、眩暈や意識が朦朧とするなどの症状が出始め、運動能力も低下します。一昔前は運動中は絶対水分をとってはいけないというのが定説でしたが、最近は運動中も水分をどんどん補給するのが当たり前になってきました。それでも夏場になると、スポーツやリクレーションの場で、水分の不足や暑さによっての事故のニュースが耳に入ってきます。

 運動をすると1時間ぐらいで体重が1〜3kg位減ることもあります。これは殆どが発汗によるものです。人間は体重の1割の水分が無くなると、脱水症状に入りますので十分注意してください。運動の後やのどが渇いてから水分を補給している人を見かけますが、身体は実際に水を飲んでも体内に吸収するまでに約10〜20分間位時間がかかりますから、それを見越して早めに水分補給をしておかないと危険です。

 研究によると、ジョギング中は1時間で1〜1.5リットルの水分が無くなります。マラソンでは1時間で2〜4リットルの水分を失います。運動中の水分補給は大切ですが、運動を始める前も大切です。運動の10〜20分前に200〜400CCの水分を補給しておきます。

 実際に水分が足りているかどうかは、運動の後の尿の色で簡易的に判断出来ます。普段より色が濃くなっていたり、量が少ない時は、水分の補給が不充分だったと考えられます。また、汗を大量にかいた割に、運動後の体重が余り減っていない時は水分の補給が十分だったとも考えられます。

 運動を習慣的に行なう人は、気候によって自分に適した水分補給のタイミングや量を自然と身に付けられるでしょう。研究によると、5℃位の温度の水分が身体への吸収が一番早いと言われています。また含まれる糖分が10%以上になると、吸収率は半減してしまいます。スポーツドリンクなどを利用するときは、成分表示を確認してみて下さい。糖分の%が高いときは、10%以下になるように水で薄めて利用するのも良いでしょう。

 自分に適した水分の種類も色々試してみてください。運動の種類によって、失われた養分を補う水分を利用すれば良いと思います。マラソン大会では、エイドステーションでオリジナルのスペシャルドリンクを用意している選手がいます。糖分を強化したドリンクを利用している選手が多いようですが、中には「これを飲むと元気になる気がする」と言って、科学的な根拠が無くても精神的な影響を重視して選んでいる選手もいます。精神面の影響も大切なのでおかしなものでなければ好みで構わないと思います。また一方ではトップクラスの選手でも大会側が用意する普通の水を利用している選手もいます。

 水分の補給は身体をオーバーヒートや脱水症状から来るトラブルを避ける為のものですが、これからの時期は日射病や熱射病にも注意が必要です。暑さでまいってしまった時は、まず木陰や涼しい室内に入って冷たいタオルなどで後頭部と首の後ろを冷やします。この時、冷やしながらゆっくり歩くか、横になって足を心臓より高くして休憩します。しかし、なにより大切なのはトラブルを起こさないように予防することです。夏場のトレーニングに関してはウエアなどを含めて、次回も引き続きお話しします。

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