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 第6回 「夏場のトレーニング」

 前回の水分補給に引き続き、夏場のトレーニングの注意点についてお話ししましょう。ポイントとなるのは「体温の調整」です。トレーニングの内容は種目によってシーズンがありますから様々ですが、一般のトレーニングでは夏場は比較的に有酸素運動が中心になります。

 夏と冬の体内的な大きな違いは、心臓の働きです。心臓は筋肉に血液を通して酸素と栄養を送り込みます。気温が上昇して来て、体温が上がりやすくなってくると、血液はもう一つの役割を担います。

 気温が上昇すると筋肉の中の温度が上がりやすくなるため、血液は体温の上昇を抑えるために約30%が皮膚の方へ回って血液の温度を下げようとします。皮膚の表面近くへ移動した温まった血液は、汗が蒸発することで皮膚の温度を奪い、血液の温度も下げます。冷えた血液が体内を循環することによって、体内の温度の上昇を抑えます。

 夏場、このように血液の30%が体温を下げるために働くことによって、トレーニング中は血圧が上がりやすくなり、脈拍も上がりやすくなります。筋肉に働く血液が減ることによって、筋肉に送り込む酸素と栄養も減少します。ですから、筋肉の多い人ほど運動中の体温が上がりやすく、血管が発達している人ほど体温の調節がしやすいと言えます。自分の体格・体質を意識してトレーニングを行なう必要があります。

 汗が蒸発することで皮膚の表面の温度が下がり、血液の温度が下がります。汗は身体を冷やすためにかくのです。しかし、湿度が高いと汗が蒸発しないためこのメカニズムが働きません。また、極端に気温が高いときや、激しい運動をして体温が異常に上がってくると、眩暈がしたり、動悸・息切れといった症状を起こします。このときは直接筋肉や首・顔・頭などに水をかけて冷やします。遠慮せずに思い切って水をかけるほうが安全です。近くに水風呂やプールがあればそこへ直行するのがベストです。

 暑くなってきたら2週間位は身体の調整期間として無理せずにトレーニングを行ないましょう。その後、気温に慣れてくると体温の調整機能が活発になってくるので、徐々に普通のトレーニングに戻します。夏場は水分補給をたっぷり行ない、サウナスーツなどの汗をかくためのトレーニングウエアは命取りますから絶対にやめましょう。

 トレーニングを外で行なう方は、早朝や夕方の比較的涼しい時間や木陰を利用します。日中は必ず帽子を被りましょう。このとき、帽子は水でぬらして被ると、直接頭を冷やす効果と、その水分が蒸発するときに体温を奪って行く効果があります。

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